アルコールを飲むと体内にアセトアルデヒドという有毒物質が発生します。これが悪酔いや二日酔いの原因になります。
これを分解する酵素がアセトアルデヒド脱水素酵素ですが、日本人の40%はこの酵素の働きが弱く、全く持っていない人も4%います。
酵素の働きが弱い40%の人はいわゆるお酒が弱い人です。全くもっていない4%の人はいわゆる下戸です。
この酵素が低活性もしくは不活性の人達は何故かモンゴロイド系の人種にのみ現れ、白人や黒人にはいないそうです。
これは遺伝によって受け継がれてきたもので、モンゴロイド系人種の特徴となっています。
日本以外の国の欠損率は中国41%韓国28%タイ10%インド5%といった感じです。日本人が一番弱いみたいですね。
遺伝で受け継がれるものなので、基本的に「両親共にお酒に弱い」人は自分もお酒に弱いと思って無理をしないで下さい。訓練しても飲めるようにはなりません。酵素が低活性な事は変わりません。
それでも飲めるようになりたい!と思われている人もいるかも知れませんが無理してお酒を飲むと急性アルコール中毒の危険があります。急性アルコール中毒は命を落とす危険のある非常に危ない症状です。
まず言っておきますが、急性アルコール中毒は先程までの酵素の話は関係ありません。お酒の強い弱いは関係ありませんので、お酒が強い人も十分に気を付けてもらいたいです。
アルコールは胃や小腸から吸収され肝臓で処理されます。肝臓ではまずアルコール脱水素酵素などによりアセトアルデヒドに分解されアセトアルデヒド脱水素酵素がそれを酢酸に分解します。
アセドアルデヒドは悪酔いした時の【気持ち悪い】の原因です。
アセトアルデヒド脱水素酵素の働きが弱いとアセドアルデヒドの分解が追いつかず、気持ち悪くなって悪酔いの状態になり、もうお酒飲めないとなります。
酵素の活性、不活性の違いによるお酒が強い弱いの差は、ここにしか無いのです。気持ち悪くなるかならないかだけです。勘違いしがちですが、実はアルコールを分解する能力とは関係が無いのです。
むしろ急性アルコール中毒に関しては、活性酵素を持っているいわゆるお酒に強い人のほうが危険性が高いです。
お酒が弱い人は気持ち悪くなった時点でお酒を飲むのをやめます。もう飲めません。
しかしお酒に強い人はどんどん飲んでしまいます。何度も言いますが、気持ち悪くなる物質を分解するのが早いだけで、アルコールを分解する能力が高いわけではありません。
肝臓がアルコールを分解する能力を超えて飲酒を続けると、アルコールの血中濃度が上がっていきます。
血中濃度が0.1%まではほろ酔いです。
これが0.1%〜0.3%になると、酩酊、ベロベロ状態になります。
0.3%〜0.4%で泥酔。
そして0.4%を超えると昏睡。急性アルコール中毒です。
たったの0.4%です。
0.4%を超えると、その半数がその1〜2時間後に死亡に至ります。
たったの0.4%です。
下がアルコール血中濃度の計算式です。
最高血中アルコール濃度(%)=アルコールの摂取量÷体重の2/3×100
[アルコールの摂取量(g)=飲んだ分量(ml)×アルコール度数/100×0.8(アルコールの比重)]
安心してください。あなたに計算はさせません。僕もはじめなんのこっちゃってなりました。
ものすごく簡単に目安として「5%のビール500mlでアルコールの摂取量20g」です。
それで体重60kgの人の場合で計算すると20g÷40,000g×100=0.05%です。
2杯で0.1%です。酔っぱらいの完成です。
肝臓は常に頑張ってアルコールを分解してくれているので、この計算式は短時間で飲みすぎると危ないよという目安なんですが、30分でこれくらい飲むとこうなる、と思って下さい。
6杯を超えると泥酔。
8杯を超えると、昏睡。からの、死です。
30分で8杯は普通はありえませんが、体重の軽い(血液量の少ない)人はもっと少ない量で危ないですし、体調によっても変わってきます。最近は高アルコールのお酒も増えているのでそれも危険です。
体重50kgの人が30分でアルコール9%の500mlの缶チューハイを4本飲んだら、アウトです。これくらいだったら普通にありえそうです。でも死んじゃうんです。本当に危ない。
とにかくゆっくり飲むことをこころがけてほしいです。
通常はほろ酔い、酩酊、泥酔、と段階を踏んで酔いが進むわけですが、飲酒してからアルコール血中濃度が高まるまでは時間差が生じます。
そのため短時間で大量に飲酒すると、ほろ酔いををすっ飛ばしていきなりベロベロになってしまいます。これは誰でも経験が有るのではないでしょうか。
ベロベロですめば良いのですが、連続したイッキ飲みなど、度を越した飲酒をすると全部すっ飛ばして急性アルコール中毒がやってきます。
何度も言いますが、酔いが回るまでには時間がかかります。「まだまだ飲めるな」と思っていても短時間で大量に飲むことだけはやめましょう。「まだ酔って無いから大丈夫」は勘違いかもしれません。
酔った自覚をしたときには手遅れ、いや、酔った自覚も無く命を失う可能性も有るのです。
お酒はゆっくり飲みましょう。ゆっくり飲みさえすれば大丈夫なんですから。
日本人がお酒弱い話じゃなくて、急性アルコール中毒の話になってしまいました。
お酒はゆっくりと、楽しく飲みましょう。