上面発酵酵母だけど下面発酵並みの低温で熟成され、なかには小麦麦芽を使うものもある。
ドイツはこういう分類的にややこしいビールが何種かあってややこしい。
このビールには製法以外にもルールがあり、ケルシュ協約に調印したケルン近郊の醸造所で造られたものしかケルシュを名乗ることが出来ない。その他の国や地方で造られたものはケルン・スタイルと言わないといけないそうです。シャンパンみたいなルールがあるんですね。
しかしこのビールを飲む時はそんな細かい事考える必要は一切ナシ!
本場ケルンでは、席に座って飲んでいてグラスが空になれば次がどんどん運ばれてくるというわんこそばのようなスタイルで供される。何杯飲んだかはコースターに線が引かれ伝票代わりになる。グラスにコースターを乗せるとおかわりいらないのサインになる。コースターを乗せ忘れるとどんどん次が運ばれてくる。
ドイツらしい陽気で豪快な飲み方である。
ケルシュ用のグラスはシュタンゲといい200mlの細長い円柱型。これをクランツというシュタンゲを乗せるために穴が彫ってある円形のお盆に乗せてウエイトレスがレストランを走り回る。注文なんて取らない。注いでは置いて注いでは置いての繰り返し。
まるで見てきたように話すが残念ながら僕はドイツに行ったことがない。某国営放送の番組で観ました。
僕たちが日本で飲む時もあまり深く考えないで飲んでいいだろう。
適温は8℃〜9℃なので、普段日本のビールを飲む時より少し高めの温度のほうが本来の味わいを感じられるかもしれないが、おそらく本場ドイツケルンでそんなことを考えながら飲んでいる人間は一人もいない。好きなように飲むほうがケルシュらしいだろう。
そして幸いなことに、ケルシュは普段日本人がビールを飲む時におつまみにする料理と合わせて飲んでもらって全く問題ない。料理の組み合わせも考えなくていい。
上面発酵で小麦麦芽と聞くとベルギーのホワイトエールを思い浮かべるがこのビールは全く違う味わいで、下面発酵の温度で熟成するからかほとんどピルスナーに近い味わいだ。スッキリしていて喉にスムーズに降りてくる感覚を楽しめるので、要はグイグイガンガン飲めちゃうビールなのである。ドイツ人もそうしている。だから僕もそうする。
普段僕は海外ビールに関して、味わって飲んだりゆっくり飲んだり、特に料理との組み合わせを大事にすることを提案している。そうすることによってそのビール本来のポテンシャルを感じてほしいし、ビールとの悲しい出会いも減らすことが出来ると思っている。
だけどこのビールに関しては小難しいことは考えないほうがいい。
ケルシュとはそういうビールである。